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それから、一年ほどののち、手錠に繋がれることにすっかり慣れた彼女は、契約を結ぼうと私に提案した。
条件は、お互い、この部屋から逃げ出さないこと。
お互いの、犯罪を誰にも話さないこと。
そのうえで、お互い監禁犯で、お互い人質でいようと。
こうして、私たちの契約は成立したのだ。
そうして、私が一年ぶりに手錠から彼女を解いてみせ、反対に、彼女が私を手錠に繋いでみると、彼女は、食事を買ってくると言い残し外出した。
私は少しだけ、不安だった。彼女がそのまま、いなくなってしまうのではないかと。
けれど、一時間後、彼女は契約通り、近所のコンビニの袋に、沢山の食糧を入れて帰ってきた。
そして湯を沸かすと、彼女は二人分のカップラーメンを用意し、それまで自分がされていたように、私に餌付けするように麺を与えてくれた。
だから、次の週、今度は彼女の手に手錠をかけ、私が外出することになったが、私も同じように、コンビニで当面の食糧を買い入れ、コインランドリーでお互いのスカートやブラジャーなどの洗濯物を洗い乾かすと、そのままどこも寄らずに部屋に帰った。
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