みたされる心、その渇望

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「今日も奏音かわいい。かわいい。大好き」 「……うん」 「俺の彼女最強。世界って素晴らしい」 「うん、ありがとう。……ねえ暖人」 「ん?」 「倦怠期って知ってる?」 「……」 今にもキスしようとしてきた暖人に尋ねれば、ぴたっと動きが止まった。そのままゆっくりと私から離れ少々不機嫌気味に眉を寄せる。萌え袖の暖人の手が顔に伸びてきて、私の両頬を軽くつまんだ。 「またあの女達か」 「……あは」 「またあの佐伯達に余計なことを吹き込まれたのか」 「付き合ってもう3ヶ月経ったからね」 「……やっとだよ」 ボソッ呟いた暖人は私を掴んでいた手を解放し、そのままじっと見つめてきた。縋るように澄み切っているその瞳にはなんだか複雑な感情を与えられる。普段は分かりやすい暖人だけど、たまにこうやってこちらを見透かすように見てくるから、そういう時は何を考えてるのか分からなくて。 脱力したように暖人が私の方に自身を預けてきた。癖のある柔らかい髪が頬をくすぐり、お風呂上がりのいい匂いが私を包む。鼻を刺激するのは同じシャンプーの香り。鼻だけではなく心臓にも負荷をかける、魅惑の香り。
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