みたされる心、その渇望

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彼に会う度、視線を交わす度、触れ合う度、好きと言われる度、高鳴る胸の鼓動はなんなのか。 寝癖だって、口癖だって、なんなら欠伸して崩れる表情にさえ愛おしいと感じるのはなんなのか。 触れても触れても足りなくて、温度を分かち合う度に訪れる幸福さはなんなのか。 何気ない日常でさえ好きだと感じて欲しくて、彼の好みに合わせて服装髪型香りを模索する私の日々はなんなのか。 溢れ出る思いが止まらなくてもはや怖いから、いっその事慣れや飽きが来て欲しいとすら思ってしまう。 彼に好きだと思わない日なんて、きっと一生来ないんだ。 「私はあっという間の3ヶ月だったよ」 「……」 「この先80歳まで一緒に生きるとして、残り60年のうちの3ヶ月なんて1秒にも満たないよ」 「……」 「そうでしょ?」 「……惚れた」 「倦怠期なんて、多分あと30年くらいは来ないんじゃない?」 「あ、でもくるんだ」 「子どもができたときかな」 「……俺女の子がいい。奏音に似た女の子」 「女の子はお嫁にいっちゃうよ」 「……俺みたいな男に掴まらなきゃそれでいい」
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