占い師

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占い師

「へっ。世の中なんてそんなもんよ。いっくら頑張ったってよ〜、もうどうにもなんねぇよ。この歳じゃ、張り合いも何もあったもんじゃねぇ」 「そこの酔っ払いさん。ちょっと寄っていきませんか」  ビルの壁にへばりつくような小さな屋台から男の声がした。 「誰だよ、あんた」 「上」 「うえ?」 「あ、下だ」 「下ぁ?」 「下を読んでみろ」 「あなたの才能を占います? 1回3000円。 あんだよ、これ」 「見ての通り、占い師です」    座高の高い男が、目の前に座っていた。  
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