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身体にチップを埋め込んで記憶容量を増やす「インストール」と比べ、余計な記憶をチップに流し込ませて容量を空ける「フォーマット」は比較的安易にできる。
ちゃんと勉強した免許持ちなら捨てられる記憶の確認と操作もできるが、俺の中途半端な技術だとそれは本人任せになる。
「意識しろ。さっきしたことだけを思い出せ」
「うん……」
手の中のポインタが振動する。記憶が流れ込む感触だ。
祈る気持ちで不穏な赤い光を睨む。
消えろ。消えろ。消えろ……!
永遠に感じた十数秒後、シアンの手首が肌色に戻った。
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