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シアンは力なく頷いた。
「でも逃げる途中で見つかって……」
言葉が途切れ、血だらけの手を動かそうとする。
「ナイフ持ってたのは向こうだよ? ボクは捕まりそうになったから抵抗しただけで……それで……」
警備兵殺しか。
さっきのやつら。
スラムのガキごときに仲間を殺されて、コケにされたことに逆上か。
それでシアンを……
意識した途端、全身に痺れが走った。
そんなことさせるか。
「……ねえ、偉いでしょ、ボク?」
「は?」
「チップ盗ってきて。これでみんなにも記憶、容量増やしてあげられるもんね」
「俺ができるのは容量を空けるだけだ」
「スカーレットならすぐ覚える……ボクやみんなみたいにバカじゃないから……」
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