Scarlet -1

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 バカが。ここの地形は俺が一番よく知ってる。  これ以上追えるとなど思うな。  俺は深く息をして路地裏の奥を見た。 「ちゃんとつかまってろ」  答えの代わりに血だらけの手が俺の上着を掴む。  それを見て、全身が凍りついた。 「お前――!」  袖からのぞく手首が血じゃない赤に染まり、不穏な光を放ってた。 「記憶容量が……」 「……だって人殺しちゃった記憶、すごい場所取るし」  耳元に眠そうなシアンの声がした。 「呑気なこと言ってる場合か! お前このままじゃ――」  死ぬぞ、とは怖くて言えなかった。 「平気だよー、もう少しくらい。それよりみんなに……」 「今はお前が先だ」
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