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バカが。ここの地形は俺が一番よく知ってる。
これ以上追えるとなど思うな。
俺は深く息をして路地裏の奥を見た。
「ちゃんとつかまってろ」
答えの代わりに血だらけの手が俺の上着を掴む。
それを見て、全身が凍りついた。
「お前――!」
袖からのぞく手首が血じゃない赤に染まり、不穏な光を放ってた。
「記憶容量が……」
「……だって人殺しちゃった記憶、すごい場所取るし」
耳元に眠そうなシアンの声がした。
「呑気なこと言ってる場合か! お前このままじゃ――」
死ぬぞ、とは怖くて言えなかった。
「平気だよー、もう少しくらい。それよりみんなに……」
「今はお前が先だ」
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