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俺はシアンを下ろして地面に座らせて、ポケットから金属製の指針器具を取り出した。
棒先の保護キャップを外すと万年筆みたいな鋭利な切っ先が現れる。
続いてシアンが盗ったガラスの箱を開けた。中には小指の爪ほどの大きさの金属板が十個並ぶ。
慎重に一枚取り出す。
「偉いでしょー、ボク」
「ああ」
ポインタの胴体を開いてチップをはめる。
「じっとしてろ」
赤く光るシアンの手首を取って脈を探り、切っ先を当てる。
そのまま皮下に差し込むとシアンは痛そうに顔を歪ませた。
「きついか? でも今だけだ。これさえ取り除けば、楽になる」
記憶は強烈であるほど容量を食う。
落ち着け……
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