僕が君を好きになった日

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僕が好きになった人が、死んだ。 警察は捜査中だと言っていたけど、多分誰かに殺された。 彼は、すごく頭が良かった。 良かった故に、人付き合いが苦手でいつも孤立していた。 逆に僕は会社の中で一番モテた。 入社した頃は先輩に、それから同期、後輩… でも、僕は全て断った。 別にこのときはゲイだとか、女性が苦手とかそんなわけじゃない。 ただ単純に、恋というものがわからなかった。 付き合ったことは何度かある。 でも、どれも続かなかった。 ほとんどの人が、イメージと違った、もっと女心がわかる人だと思ってた。 そう言って、別れを告げられる。 僕は勉強はあまり出来なかった。 運動はそこそこできた。 人付き合いはいい方だと思う。 愛想も良かったとも思う、多分。 ただ、女心が分からない。 ああして欲しいこうして欲しいって、 言葉で伝えてくれたらいいのに。 回りくどく言って、伝わらなかったら即終了。 シェイクスピアのような言い回しは嫌いだ。 それからそこそこ上手くいって、そこそこいい企業に就職、それからも平凡な日常。 失敗することは何度もあった。 でも、そんなに気にしなかった。
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