7.

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7.

その日は、雲一つない快晴だった。 僕は君の病室で眠る君の横で本を読む。 聞かれてもいないのに、本の内容を説明していた。 きっと君が起きていたら、つまんないと欠伸されること間違いない。 幼かった頃の君の事を、ふと思い出して……、久しぶりに声を出してふふっと笑った。 最初に出会った頃も痩せっぽちだったけれど、ここ最近の君も点滴の栄養剤のみなので、随分と痩せてしまったように感じられた。 けれど、君は生きている――。 君がここに生きていてくれるから、僕もここで生きていられるんだ。 だから僕は、君の生きた証を全部記憶するよ。 幸い、記憶力だけは人よりも優れているんだ。 神に感謝しないとな――。
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