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ここは、いわゆるあの世である。
いろんな時代の幽霊達がいる。
それなりに自由に家も有り、普通に生活をしている。
お岩さん、お菊さん、お七さんらが軒先で長椅子に座って話している。
「本当に暇よだねぇ
お盆しか行く所ないんだよ
いい加減あきないかい?お菊ちゃん」
「お岩姉さん私もそう思うわ
たまには、面白い所に行きたい
お七ちゃんは?」
「本当に行きたいよねぇ 何処かいい所ないかな?
そう言えば、お岩姉さん顔変わった?」
「やっと気づいてくれたかい?
やったの!うふっ」
「何を?ああ〜もしかして、整形?」
お菊とお七はマジマジとお岩の顔を見る。
「そうだよ、どう?いいだろう?
新しい先生様が居てさぁ、異国の美容医学が
進んでるんだってさ!気に入ってるんだよ!
どう?」
お岩は気取って見せた
「綺麗になったわ凄く綺麗よ!
前の顔ボコボコだったもん
髪の毛も薄かったのに何処の店?私もしたいわぁ
私 全身大やけどなのよ!何とかなるかなぁ」
「結構きついんじゃないかい?ボコボコって!
私は、亭主に毒飲まされて酷い顔にされて
戸板に縛られ川に流されたけどさぁ
お七ちゃんは火炙りの刑で、焼かれたんだよね」
「そうなのよ!近所で火事があってお寺に避難
したのよ
その時 私に凄く優しくてくれたお坊さんが居てねまだ修行僧だったの
私の家は火事から逃れたんだけど、もう一度
お寺に何度も行ったけど会えなかった
そのお寺は女人禁制で、私は入れない
どうしても好きなお坊さんに会いたくて気が変になるほど会いたくて辛くて......
火事になれば又、避難出来て会えるんじゃないかと思って自分の家に火をつけたの
あんな大火事になるとお思わず....
町の皆に罵倒され、張りつけ火炙りにされた
僅かの火と煙の隙間から、お坊さんの手を合わせる姿が見えたやっと会えた!
と思ったけどあれが現実か思い込みか今では分からないけど......」
「火付けは駄目だろうよ、大罪だよ!
火炙りの刑は知ってたろうに
余程惚れてたんだね、お七ちゃん
もう二度と火付けは駄目だよ!」
「お岩姉さん分ってる!あんな事絶対しないわ
あの時はどうかしてたのよ、馬鹿だったわ
もう忘れる、前に進みたい!
だから、そこへ連れて行ってよぉ、お願い!」
「いいよ!いつでもいいなら今から行くかい?」
「お菊ちゃんも二重にすれば?
もっと可愛くなるよ!それに 刀で切られて井戸に
掘り込まれたんだろう?」
「勿論行く、お殿様から頂いた10枚のお皿の1枚を
旦那様が割り捨てたくせに お前が取ったと!
酷い仕打ち、私が数えた時は10枚あったのに
体中切られ井戸に放り込まれて酷い傷痕
その井戸は、お菊井戸って呼ばれてるわ
あたし整形したい、お支払いは?
ここはお金要らないけど、お岩姉さんは何で
払ったの?」
「肩もみ、100回!」
「お菊ちゃんは何か得意なのあるのかい?」
「琴と 皷 、生け花、茶道位かな」
「それで充分だよ、お菊ちゃん」
「お七ちゃんはどうなんだい?」
「舞ぐらいかな」
「それで払えばいいんだよ!今から行くかい?」
「行く!行く!」
3人は長椅子を立ち上がっり少し歩いて行くと
岩が聞いた
「ちょいと、新顔だよ!あの子誰?」
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