幽霊向上委員会

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「まあ、良く考えて決めよかねぇ それより、お腹空いたねぇ何か食べりやあいい案も浮かぶだろうよ」 「そうだね今日まだ何も食べてなかった! 玲奈ちゃんは何が食べたい?」 「お寿司がいい」 「そうかい、じゃああの店にするか」 寿司屋は露天で食べるとは玲奈は知らなかった 「ここ?」 「寿司屋だよなんだい?」 「お店のお寿司は無いの?」 「ここがお店だよ変な玲奈ちゃんだねぇアハハ」 仕方なくのれんを潜る 椅子もお箸も皿も無い ヘイらっしゃいと声がする 「玲奈ちゃん好きなの頼みなよ」 「じ、じゃあトロ」 店の主人が唖然としている 「アハハ玲奈ちゃん冗談でしょう? トロなんて捨てる所で食べれないよ」 「ええ、捨ててしまうの?勿体ない! 私の時代じゃ高級品で高いんだけど」 「へえー変な物が流行るんだねぇ」 「じ、じゃあマグロ」 「ヘイお待ちマグロ」 上がりとマグロの握り寿司を 手渡された おにぎりとワサビの上にマグロが乗っているだけ 玲奈の時代とは大違いな不潔そうな露天の店 とても食べる気がしない 「玲奈ちゃんどうかしたの?食欲無いけど」 心配そうにお七ちゃんが聞いた 「のれん汚れてるし、手渡しだし」 「玲奈ちゃん美味しい証拠なのよ 食べ終わったら余ったお茶で手を洗ってのれんで拭くのよ のれんの汚れで美味しい店が分かるの それだけお客さんが多いって事」 お七ちゃんが耳元で言う 「玲奈ちゃん、ついでに教えてあげる 何で上がりが大きいかって言うと 小さいお湯呑みだと握る時間がないからなのよ 何回もお茶入れないとお客さんが文句言うしね お寿司屋の知恵ってやつよアハハ」 「そ、そうなんだ」 「さあ、出るよ!松吉さんこれでいいかい?」 お岩さんは手ぬぐい2枚渡した 「ありがてぇ流石よく気がきくねぇ お岩姉さん!又来ておくれよアハハ」 やはり食べれらない玲奈は店に並んでる人に お寿司とお茶をあげたのだった 玲奈はお腹の空いたままお岩さん達を送り 家に着いたがお湯も沸かせ無い 「死んでもお腹は減るんだ ああ、お腹空いたどうしよう......」 そこに源さんが来た 「玲奈ちゃん、すまねぇ!うっかり七輪と鍋釜を渡すのを忘れちまって これで飯も食えるってもんだ」 「あのぅ、ご飯の炊き方知らないけど 七輪も使え無いんでどうすればいいの?」 「おお、そうかい新入りだもんな じゃあよく覚えておきなよ 米洗って水はこの位入れて 七輪はここに炭を入れてこの小さい所に......」 源さんは丁寧に教えてくれた 「ありがとう源さん助かりました これでご飯食べれます」 「いいって事よ!遠慮はいらねぇ 何でも聞いてくれよ、そうだ! こんなもんで良かったら食うか? 珍しくもねえけど秋刀魚、今買って来た所でよ 多すぎて良かったら食ってくれ 水はそこの井戸で汲んで、水瓶に入ってるぜ じゃあな」 「わあ、嬉しい秋刀魚ありがとう源さん」 玲奈はヤカンに水を入れて七輪でお湯を沸かす パタパタうちわで風を起こし沸いたお湯を ポットに入れて、魚焼き網で秋刀魚を焼いた ご飯も初めて土鍋で炊いた大変だった スイッチ1つで今迄何でも出来たのに ここでは何の役にも立たない どれ程自分の時代は楽だったのかつくづく有難いと思った。 「やっと、ご飯と秋刀魚、インスタントお味噌汁が出来た 美味しい!こんなに美味しいなんて 考えた事も無かったわ」 玲奈はゆっくり味わいながら食べた。 食べ終わり又、井戸の水汲み食器を洗剤で洗って布巾で拭き食器棚に入れた ご飯を食べるだけでこんなに疲れた事はなかった。 「ふぅ~こんな事、毎日、朝昼晩出来る ここの人達って凄いなぁ私には無理!疲れたぁ」
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