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盃
夜になり、僕は晩酌をしている。毎日、僕は仕事をして、家に帰る。夜は静かな静寂の中、好きな日本酒をチビりと熱燗で呑む。傍に上手い珍味があれば、尚良い。美味しい酒には、上手い肴が必要である。僕達は毎日、何かに急かされる様に生きている。明日さえ見えない毎日の中で、僕は本当の自分のあるべき姿を、静かな静寂の中、探している。僕達は皆、共通の夢、自分探しをしている。答えのない世界に、不安が介在する。その世界には、皆震えて眠る羊達が居る。誰かに何かを強制されて、明日さえ、誰かに奪われて、心を無くした、死んだ目で毎日、怯えている。荒波の中、僕はいつも、仕事の運転するおじさんのワゴンに乗って、トイレ清掃の仕事をしていた。僕は、彼が、道草をしようと言って、どこかの海岸の砂浜に出た。
空が青空だった。そこに涼んでいると、僕の兄が、邪魔そうに僕を見ながら、戸をしめようとしている。
夢、あったんだけど、何だったけ……
明日も僕はいつも夢を追いかけていた日々を、ノスタルジックに思いながら汗水垂らして仕事場に行く。怖いおじさんが僕のパートナーだ。
"夢なんかよりも、生きる事が大事だ"
そう険しい眼差しで僕を諌めている。
心にもないことを僕は良く、考える。
生きている意味ってなんなんだろう?明日さえ、僕らは分からない。だから、僕は、この世界の共同体に、歯車のひとつとして、一員になる。
僕らは1人じゃない。それを教えてくれた"彼"(※)という男に敬意を示し、僕は未来の不安に、回路図を片手に、今日も、前だけを見て、進むんだろう。
※黒瀬深氏……稀代のインフルエンサー。
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