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午後の授業も終わり放課後になった。手紙を無視して部活に行くという手もあるが、手紙をくれた本人の意図が分からない。困ってるのなら助けてあげたいし、悪戯だったら怖くて逃げだしたと思われるのは癪だ。僕は四階に行くために四組と五組の間の階段を上がった。ちょうど踊り場のところにクラスの女子たちがいてお喋りをしていた。僕が背中を丸めて通り過ぎようとするとリーダー格の女の子が話しかけてきた。
「瑛太くん、四階に行くの?」
「ああ、手紙でさ、呼び出されたんだ」
「もしかしてトイレ?」
「うん、その通り、悪戯だったら馬鹿馬鹿しいけど、悩みとかの相談かもしれないだろ」
リーダー格の女の子は肩を竦めた。
「やめたほうがいいよ。幽霊が出て、神隠しにあうっていうじゃない」
僕は一瞬この子のいう通りにしようと思ったが行かないと気になって部活が手につかなそうだ。
「怖いよな。首吊り自殺した怨霊だろ。僕もお兄ちゃんに聞いて知ってる」
僕も肩を竦めた。だがもう少しで四階だ。ここまで来て引き返したら男がすたる。引き返すわけにもいかない。
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