天の穴

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ぼくは、沙織に父さんの話をした。 人に話すのは初めてだった。 沙織は、ただ、 「そう……。つらかったわね」 と、言ってぼくの頭を撫でてくれた。 ぼくは、いい大人だし、ちゃんとした社会人のつもりだったのに 子供みたいに、泣いてしまった。 沙織といれば、ぼくは父さんのようにはならない、 そう思えた。 ぼくは、人間は家族だろうが、恋人だろうが、結局は一人だと思っていた。
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