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“ 結美へ
今まで嘘をついてしまってごめん。
もしかしたら、最初から結美はバレていたかもしれないね。
それでも嘘をつくことしかできなかった僕を許してくれとは言わない。
毎日、僕の元に来て、2人の思い出の話を楽しそうに話す結美を見て、もう嘘をつくのが限界で逃げた。
結美には何も言わずに。
結美のことだから、事故が起こったのは自分のせいだと責めているかもしれない。でも、それは結美のせいじゃないよ。僕が結美を守りたくて行動した結果の事故、だから、自分のことを責めないで欲しい。結美は決して不幸でもないし、死神でもない。
僕が愛した世界一大切な人です。
そして僕は事故にあったことを利用して、結美を傷つけた最低な人です。
これが最後、結美に言います。
僕は結美が嫌いになりました。だから、もう結美のそばにいることはできません。こんな最低な僕のことなんか忘れて、幸せになってください。幸せにならないと僕はもっと結美が嫌いになります。それと僕を探そうなんてしないでください。そんな無意味なことしても時間が過ぎるだけです。ゆみが幸せになるために時間を使ってください。
最後の最後まで結美を傷つける僕を嫌いになってください。”
ボールペンで書かれた手紙は、所々滲んでいた。きっと、涙を流しながら手紙を書いたんだろう。
出会った日から、勝手に私の前にいなくなった今日まで、貴方はずっとずっと、優しくてお人好しで嘘がつけなくて、こんな私を愛してくれた。
「優人のバカ……」
私は泣いた、貴方のいない病室で、貴方を想いながら…
身体中の水分がなくなってしまいそうなくらいにたくさん、たくさん泣いた。
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