#00 プロローグ

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何気無く行った三ヶ月振りの飲み会。侑奈に連れられたのは貸し切りのダーツバー。 個性的なピンクや水色のネオンライトが映えるフロアーは同世代の男女でいっぱいだ。 「あ、常葉さんだ」 「きゃー!初めて間近で見た!感動〜」 「目ぇでか!顔ちっちゃ!肌綺麗すぎぃ」 「ありがとうございます」 お望み通りの自分を演じて、暫くパンダ気分を味わった後、やっと解放されたあたしはカウンターで飲んでいると侑奈がツン、と、肘でつついた。 「あの人」 侑奈が指差す先に居るのはここ最近聞かされていた"一色さん"だろう、見た目ワイルドな男子がいる。 奥のソファーに座り何人もの女の子と騒いでるし、言っちゃなんだがチャラそう。 「良い感じになったら抜けるかも。良い?」 「その時はあたしも帰るよ」 「楓花って淡白だよね。彼氏作んないの?」 「作んないというか、めんどい」 「やっぱ許婚いるんでしょ」 「いないから、それただの噂だから」 グラスの中に浮くミントを突き、聞き飽きた話を耳で受け流した。
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