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「侑奈ちゃーん、」
場の空気を割る様な声と共にある男性がカウンターに座った。
香水が混ざりあった様な独特の空気が周囲にまとわりつく。
「一色さぁん!寂しかった、」
「ごめんごめーん」
一色さんは全然悪びれてないのに侑奈はにやけた笑顔を辞めようともしない。
もうこれはアレだ。恋する乙女の顔。止めとけって言っても聞かない顔。
「楓花ちゃんも、今日来てくれてありがとねー!」
「侑奈が誘ってくれたからですよ」
「そうですよ、一色さんが楓花と話したいって言ってたから」
「まじかぁ、ありがと!こないだ深海魚みたいって言ってごめんね?」
「もぉ〜ひどすぎます〜」
一色さんが侑奈の頭を撫でると、ネオンに照らされたボブカットが嬉しそうにふわりと揺れる。
侑奈はあたしと違って恋多きタイプで、好きな人がコロコロ変わっている。
だけどその時々で一途に恋愛している様は少しだけ、羨ましくもある。
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