シュークリーム

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痛いのはなんだ、痛いのはどこだ。俺は今生きているか、生きているとすれば何の為に生きているのだろうか。そんな事を富永は思う。誰もがにやにやとしている癖に誰もがけして愉快ではない。人生を表す言葉は理不尽である。 痛いのはなんだ、痛いのはどこだ。 頭の中で誰かが必死で喚いている。 痛かないさ、俺は元気だ。 そう言ってやっても頭の誰かさんは馬鹿みたいに呻く。 なんのために、なんのために 人間は生きているんだろうか、生かされているんだろうか。 そんな哲学的な事を、よく富永は考える。 その夜富永は馴染みのクラブに行って、自分の席についたホステスに買ってきたシュークリームを渡した。女は美味しい、と喜んだ。 富永は尋ねた。 「なあ、シュークリームの中に何が詰まってるか知っているかよ」 「え、クリームじゃないの?」 「バアカ、愛に決まってんだろ、愛」 そうだね、女がおかしげに笑った。 多分、小泉に詰まっていたのは愛だったんだな、と思った。 そして俺にはなにが詰まっているんだろうと思った。 【シュークリーム】完
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