第一幕 ~相談~

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「それで、出版社が血相変えて連絡してきたんだな」  互いに連絡先すら知らない同級生同士を引き合わせたのは、天堂が主に世話になっている出版社だった。連絡を貰った時の担当編集の狼狽えっぷりを思い出し、天堂はようやく合点がいった。 「お願い、天堂くん。同級生の頼みだと思って力を貸して」  両手を合わせて頼み込む恵美。三流作家である天堂には、出版社を抑えられている以上、選択の余地など無いのだ。 「力を貸すと言っても、一体何をすればいいんですか? 三流小説家に変な期待はしないでくださいよ」  力なく肩を落として天堂は尋ねた。最早諦めの境地だ。 「そう深く考えなくて大丈夫よ。何事も無ければそれで良いんだし。同窓会気分でウチに来て、数日泊まって、ちょっと事件のことを調べてくれれば良いの。本格的に事件ってことになれば、その時は警察にお願いするから」  そういうことなら、と天堂は話を引き受けた。何か力になれるような気は全くしていなかったが、学年のアイドルに頼られるというのは内心嬉しくもあったのだ。
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