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羽化する蝉
梅雨明けの空の下。
四方八方から驟雨の如く降り注ぐ、
喧々たる蝉の鳴き声。
喧々たるその音に身を打たれながら、
私は唯、只管に涙を流し続けていた。
嗚咽と呼ぶには余りに大きい泣き声をあげながら。
わぁわぁと、力の限りに泣き叫びながら、
唯、只管に涙を流し続けていた。
驟雨の如く降り注ぐ蝉の声に、
この身を打たれながら。
世界中から響いてくるかのように思える
地響きのような蝉の声
それはまるで哄笑のようにも感じられてしまった。
世界が全力で私を拒み、
そして嘲る哄笑であるかのように。
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