1/2
前へ
/14ページ
次へ

 次の日、昼休み。ひと気のない教室で、わたしは、いつものメンバーと、こっそりお菓子を食べながらおしゃべりをしていた。  ふと、ミカがわたしに向かって口を開く。 「さいきんミドリコ、あんまり一緒に遊んでくれないよねぇ。すぐ帰っちゃうし」 「あ、あはは……、ごめんって。推薦とはいえ、やっぱ、勉強しとこうかなって」 「えぇー、マジメじゃん! なんかドン引きー!」  悪気もなくそう言うミカと、笑うみんな。  しまった。マジメや本気は、カッコ悪いんだった。  まずったと思いながら、「まぁ、帰ってもすぐマンガとか読んじゃうんだけどね!」なんて、慌てて修正をかける。  ふと、とつぜん、サヤカがマジメな顔になってわたしに話しかけてきた。 「……あのさぁ、ちょっと、噂で聞いたんだけど……。  放課後、土手で、ミドリコと相良(さがら)が一緒にいるのを見かけたって人がいたんだけど、ほんと?」  その瞬間、心臓が跳ね上がった。  ほとんど生徒が通らない道だからって油断していたけれど、まぁ、そりゃ、学校の裏だし。 「本当だよ。わたし、実は、相良(さがら)のこと……」。言いたい言葉が上滑りしているうちに、隣のミカが手を叩いて笑った。 「えぇ、相良(さがら)とか、ミドリコが相手する訳ないじゃん!  サヤカってばマジメな顔してうけるー!」  ひゅっと、気持ちが、色のない世界に落ちていく気がした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加