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Ⅳ
次の日、昼休み。ひと気のない教室で、わたしは、いつものメンバーと、こっそりお菓子を食べながらおしゃべりをしていた。
ふと、ミカがわたしに向かって口を開く。
「さいきんミドリコ、あんまり一緒に遊んでくれないよねぇ。すぐ帰っちゃうし」
「あ、あはは……、ごめんって。推薦とはいえ、やっぱ、勉強しとこうかなって」
「えぇー、マジメじゃん! なんかドン引きー!」
悪気もなくそう言うミカと、笑うみんな。
しまった。マジメや本気は、カッコ悪いんだった。
まずったと思いながら、「まぁ、帰ってもすぐマンガとか読んじゃうんだけどね!」なんて、慌てて修正をかける。
ふと、とつぜん、サヤカがマジメな顔になってわたしに話しかけてきた。
「……あのさぁ、ちょっと、噂で聞いたんだけど……。
放課後、土手で、ミドリコと相良が一緒にいるのを見かけたって人がいたんだけど、ほんと?」
その瞬間、心臓が跳ね上がった。
ほとんど生徒が通らない道だからって油断していたけれど、まぁ、そりゃ、学校の裏だし。
「本当だよ。わたし、実は、相良のこと……」。言いたい言葉が上滑りしているうちに、隣のミカが手を叩いて笑った。
「えぇ、相良とか、ミドリコが相手する訳ないじゃん!
サヤカってばマジメな顔してうけるー!」
ひゅっと、気持ちが、色のない世界に落ちていく気がした。
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