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ミカを見て、ミホもサヤカも、笑いだす。
「だよねぇ! ネクラの相良とミドリコとか、絶対違うと思ったんだけどさぁ。
相良なんて付き合っても超つまんなさそうだし」
「てか、第一相良とかチビじゃん。モデルみたいなミドリコとじゃ、大人と子どもだから!」
「やだ、かわいそー!」
勝手に展開していく会話に、どんどん気持ちが凍っていく。「え、違うよね!」と、げらげら笑いながらミカが聞いてくる。
相良は、ネクラじゃない。笑うとすごくかわいいんだ。
相良は、つまんなくない。いつだってわたしを、金色の世界に連れてってくれる。
相良は、チビじゃない。いや、背は低いけど、わたしよりもずっと、大きな志を持っている。
……それでも、そのことを気にしなかったわけではない。
小さな相良と、大きなわたし。それは、こんなにも、笑われてしまうことなんだ。
わたしが相良と一緒にいることは、こんなにも、おかしなことなんだ。
そう思うと、気づいたら、口を開いていた。
「あ、はは……。一緒になんて、いるわけないじゃん。
相良とか、ナイわー……!」
言ってしまったわたしの言葉に、三人がどっとわく。
「あっはっは、さっすがミドリコ!」
「秒殺じゃーん!」
「うけるー!」
盛り上がる三人と、乾いた笑顔を張り付かせたわたし。
わたし、サイテーだな。
そう思いながら一緒に笑っていると、教室のドアが、がらりと開いた。
そこには、背の低い、眼鏡の、見慣れたあいつが立っていた。
教室に入ってきた相良を見て、取り繕っていた笑顔すらも凍る。
「やばっ、本人きたっ」なんて空気の読めない発言をするミカを、ぶん殴りたいとまで思った。
……いや、違うか。
本当にぶん殴りたいのは、わたし自身だ。
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