2/2
前へ
/14ページ
次へ
 ミカを見て、ミホもサヤカも、笑いだす。 「だよねぇ! ネクラの相良(さがら)とミドリコとか、絶対違うと思ったんだけどさぁ。  相良(さがら)なんて付き合っても超つまんなさそうだし」 「てか、第一相良(さがら)とかチビじゃん。モデルみたいなミドリコとじゃ、大人と子どもだから!」 「やだ、かわいそー!」  勝手に展開していく会話に、どんどん気持ちが凍っていく。「え、違うよね!」と、げらげら笑いながらミカが聞いてくる。  相良(さがら)は、ネクラじゃない。笑うとすごくかわいいんだ。  相良(さがら)は、つまんなくない。いつだってわたしを、金色の世界に連れてってくれる。  相良(さがら)は、チビじゃない。いや、背は低いけど、わたしよりもずっと、大きな志を持っている。  ……それでも、そのことを気にしなかったわけではない。  小さな相良(さがら)と、大きなわたし。それは、こんなにも、笑われてしまうことなんだ。  わたしが相良(さがら)と一緒にいることは、こんなにも、おかしなことなんだ。  そう思うと、気づいたら、口を開いていた。 「あ、はは……。一緒になんて、いるわけないじゃん。  相良(さがら)とか、ナイわー……!」  言ってしまったわたしの言葉に、三人がどっとわく。 「あっはっは、さっすがミドリコ!」 「秒殺じゃーん!」 「うけるー!」  盛り上がる三人と、乾いた笑顔を張り付かせたわたし。  わたし、サイテーだな。  そう思いながら一緒に笑っていると、教室のドアが、がらりと開いた。  そこには、背の低い、眼鏡の、見慣れたあいつが立っていた。  教室に入ってきた相良(さがら)を見て、取り繕っていた笑顔すらも凍る。 「やばっ、本人きたっ」なんて空気の読めない発言をするミカを、ぶん殴りたいとまで思った。  ……いや、違うか。  本当にぶん殴りたいのは、わたし自身だ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加