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ある島でのこと。
一人の人間がこの島に到着した。
『4219のコールドスリープモードを解除します』
機械のアナウンスの放送が流れる。
白い煙と共にプシュッーと卵形の容器の扉が開き、
その中に、入れられていたのは、踞り丸まって眠ってる人間だった。
「んっ……」
眠っていた意識が、目覚めかけている“4219”と呼ばれる人間。
重たい瞼がゆっくりと開く。
「此処は?」
今の状況を見るためか、キョロキョロと眼を動かせて辺りを見回す。潮の匂いがする。
立ち上がるために身体の体制を整えて、卵形の容器から脚を踏み出した。
「わぁっ!!?」
ずっと眠っていたせいか? 脚を踏み外してその場に転ける。痛いと少し呟くと、あることに気づく。
「海?」
身体についてる砂を払い除けて、今いる自分の場所を確認するために、歩きだした。
どうやら、白い砂浜と広い海。そして、近くには翠々とした森が生い茂っていた。森があると言うことは、動物とか自分以外にも生き物がいるのだろうか? と、4219は考えていた。
「そういえば、私? いや? 俺?……僕?、自分自身の事が何も思い出せない……。
これって此処に居る事と、関係あったりするのか??」
取り敢えず、島? なのかな? と、島を探索するように歩き出すと、もう一つあることに気がついた。森の中で、煙がモクモクと上がって見える。
「俺、……僕?? 以外にも、人が居る!!」
人間以外の、炎を扱える器用な動物なんていない。
誰が他に人間が居ると言うことは、何かこの島の事を知っているのかもしれないと、期待をする様に森の中を走り出した。
「あ!」
案の定何人か人が集まっていた。
人が集まり……、ワイワイと楽しそうに食事をしていた。この島で取れたと思われる、何の肉かは、わからないが、香ばしく焼いた肉の匂いが此処まで漂っている。お酒の匂いもする。飲み物もあるということは、近くに民家もあるのだろう。
「助かった。……無人島じゃなさそう。僕も混ざろうかな?」
直ぐ様、一人じゃないことに、ホッと安心したように茂みに隠れてたが、事情を話して酒に混ざろうかなと思い、嬉しそうに集団の元に向かおうとした。喉も乾いてる。お腹も安心したので腹も空いた。
きっと、人の良い彼らだろうなと勝手に解釈する。
が、よく見るとあることに気がついた。
「何で……あの集団……服を着てないんだ?」
楽しそうに飲み食いをしているのを見ていたが、何故か衣類を着ていない。肌を隠さない、そういう民族なのだろうか? とも考えるが少し違うようにも見えた。
が、必死に歩いてたから気づかなかったが……自分も衣類を着ていない。裸だ。それに……。
性別を左右する男の勲章も、女である胸もない。
つるペタのペッタンコで乳首自体がない人形みたいな身体なのだ。
自分は人ではないのだろうか? と、困惑していた。
「あ、オーイ!! そこのお前も来いよ!!」
走行考えていると、自分の存在に気づいた集団の一人が、手を振って歓迎するように微笑んでいた。
多分大丈夫だ。
「お、おう」
ちゃんと歓迎されたので、不安ながらも駆け足で輪の中に入っていった。地べたに座り、愛想よく笑って盛り上がる様に声援を送り、
「新入りだー!!!」っと、言ってくれる人らだった。
今は、食事を楽しむとしよう。
「此処は何処なんですか?」
自分の為に用意された分厚い肉汁たっぷりの骨肉にかぶり付き。美味しいと、驚きながらも話を振りだしていた。
「さあ? 俺らにもわからない。けど、お前も名前も性別もわからないんだろ? けれど、此処の奴らも、わからないままこの島で生活している」
コップに果実のジュースを注いで、4219に、渡してあげてる。
「そうなんですか? 僕よりも先に、何人かはこの島に着てたんですか……。
失礼ながら、……どうして衣類を、身につけてないんですか?
自分より先にこの島に居るなら、そういうものを造って生活しそうなのですが??」
こんな人形みたいな姿であっても、人として衣類を身に付けないと落ち着かないと、伝えながら飲み物を飲んでいた。
話しながらだが、喉の潤いを満たすこのジュース。さっぱりして柑橘類の果実のジュースなのか、とても美味しい。
「俺らも身に付けたいが……、
何人かの内の知識のある者の一人が一人が協力して、1日目で、此処の植物を使って衣類を造って身に付けて……、魚釣りや、狩りをし……、
島で自力で暮らしていけるように
それなりに、この島で暮らしてたりしてたが、
夜になると、催眠ガスで無理矢理眠らされて、
造った物や身に付けられていた物を、強制的に没収されてしまう上に……、
寝る場所は、最初に卵形の容器だから、寝る場所も……、雨風凌げるテント要らず。
それに……、食料品は空から落ちてくるから食べ物も困らない。よく分からないが、暮らす上では不自由はまったくない」
べらべらと4219に、今の状況を丁寧にも教えてあげる。俺らは、どうすればいいか、わからないまま何週間か暮らしてるので、感覚が少し麻痺してるとも伝えてあげてる。
敵も居ないので気楽に行こうぜ? と、笑ってくれる。
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