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抗えない運命
3月12日。
今日は予定通り『つなん雪まつり』に参加するため、高速バスで新潟へと向かう。
8日に届いた意味深な文書のことを気にかけながらも、笛吉はバスに乗った。
関越自動車道を北上し、新潟県へと入る。その後湯沢インターチェンジを下り、山道を進んでバスは津南町に突入した。
辺りは一面雪景色で晴れてはいるものの、妙に視界が悪い。何事も起こらなければいいが……。
プー。
クラクションが鳴り響き、車体は急に傾いて乗客は席から投げ出されてしまった。
「うわあああ~!!」
笛吉を乗せたバスは、地面に積もっていた雪でスリップし、カーブを曲がりきれずに真っ逆さまに落下した。
笛吉は薄れゆく意識の中、あの文書を思い出した。
____なんだ、やっぱり今日が命日じゃないか。俺は念願の雪まつりも見れずに、不慮の交通事故で死ぬんだな。ははは____
その直後、バスは落下の衝撃で横に倒れ、笛吉は首の骨を折り死亡した____。
津南町で起きたバス事故では、12人が犠牲になり、大きくニュースで取り上げられ話題となった。
一方、笛吉の元に届いたあの不吉な文書。あの紙の裏には、実は"注意書き"がしてあったのだ。ただ彼はそれを見逃し捨ててしまったため、今回の事故で命を落とすことになってしまった。
その"注意書き"とは……。
『※この命日は今年です。不慮の事故には、特に気をつけましょう』
《完》
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