入ってみると・・・

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入ってみると・・・

二キロメートル歩いたところに僕たちの目の前にいつ倒れてもおかしくない ようなボロボロの家が建っている。家と言うよりも小屋と言った方がしっくり くる。そんな家だ。 「確かに怪しい。何も知らずに入るのはあまりにも無謀だ。これだけボロボロ なのだ。どこかに穴でも開いていたらいいのだが。」 「ファタ、ここからなら中を覗けそうだよ。」 僕は天井と小屋との間に開いた小さな穴を見つけた。僕は絶対に無理だが、フ ァタならいける。ファタは早速、穴に飛んでいき覗く。ファタ様子がミルミル 変わっていく。肩がワナワナと震えている。中で何かあったに違いない。 「断じて許さない。あいつらに然るべき報いを。」 「ファタ一体どうしたの?」 「どうしたもこうしてもない。皆、鳥かごの中に捕まっている。ぐったりして いる。ろくにご飯を食べていないのだろう。」 「敵は?」 「人間の形をしているがおそらく人間ではない何かだ。女の格好をしている。 銀髪。数え切れないくらいクモがいる。」 「僕に考えがある。上手くいくかわからないけど。やらないよりましだ。」 「どうするのだ?」 僕はスマートフォンを取り出し、とある所に電話をかける。相手は中々電話に 出てくれない。日本だったら出てくれるのに・・・。諦めようかと思ったその 瞬間ようやく出てくれた。僕は手短に要件を伝える。不安は残るが・・・。 「カイ、まだか?」 「後もう少し待って。」 そう言いながら僕はスマートフォンのタイマー機能を使い十分後にとある音が 出るように設定しておく。 「ファタ、お待たせ。行きますか。」 「遅い。」 僕は木製のドアを押す。今にも壊れそうだなと思った瞬間。バキッと音がし た。ドアが外れてしまった・・・。 「入り口を壊して入ってくるなんてたいしたお客人だね。」 甲高い耳障りな声がする。僕は声の主を見た。女の格好をしている。銀色の目 をしている。床に届きそうな長い銀髪は宝石のように輝いている。僕は床を見 てギョッとした。目の前には信じられないほど気持ち悪い光景が広がっている。 床に大量のクモがいる。床はクモがおおっていて、まるで床が動いているよう に見える。
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