妖精との出会い

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僕の部屋と言っても昔の子ども部屋を使っているだけ。ドールハウスや木の ぬいぐるみなどのおもちゃがおいてあるままになっている。 「じゃま、する。」 ファイはぐるりと部屋を見回すと「子どもっぽい部屋だな。」と言った。 「仕方がない。ここは母さんが子どもの頃使っていた部屋をほぼほぼそのまま 使っているだけなんだ。さて、さっきの話の続きだけどファタはどうしてクモ の巣に捕まってたの?」 「最近、よく国でクモの巣が出来る。それもすごい数。気をつけて飛ばないと 引っ掛かってしまう。さっきの私のようにな。あまりにも出来るので本当は行 きたくないが、人間供が何かやっているのではないかと考え、下見に来たら引 っ掛かってしまったというわけだ。」 僕はその話を聞いて、腕を組んで考え込んだ。 「どうした?カイ。思い当たる節であるのか?」 「この町にも大量のクモの巣が出来るんだ。本当に気持ち悪いくらい。」 「そうか。同じ時期に大量発生するクモの巣。とても偶然とは思えない。」 「確かに不自然だね。」 僕はファイにある提案をすることにした。 「ねえ、ファタ。僕に提案があるんだけど。いいかな?」 「何?」 「僕、妖精の国に行ってもいいかな?」 「ダメに決まっている。我々は人間が嫌いだ。と言いたい所だが、カイは私を 助けてくれた。カイは信用してもいいと思う。私と一緒に国に行くことを許可 する。」 「ありがとう。」 「仲間のためだから。」 外を見ると夕日は沈みつつあり、裏手にある森は暗くなっている。 「そうと決まれば今すぐにでもと言いたい所だが、もう森の方は暗くて危険だ。 明日にしよう。」 「私は行く。」 「危険だから行かせられないよ。クモの巣に引っかかってももう僕は助けにい けない。今夜はうち泊まればいいさ。ちょうどいい大きさのドールハウスもあ ることだし。」 「私は人形じゃない。」 僕はふとファタの食事はどうすんだろうと思った。人間の食事をそのままとい う訳にはいかないだろうし・・・
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