いざ、出発

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いざ、出発

朝ご飯は、オレンジジュースにサラダそれにお皿に山盛りのグラノーラにこ れでもかというほど溢れるほど牛乳を入れた。ファタ用にドールハウスの小さ なコップにオレンジジュースを入れ、ドールハウスのお皿にグラノーラを入れ る。朝ご飯を食べ終え、部屋に戻ると、ファタはまだ寝ていた。なんだかすご く苦しそうな顔をしている。「うんうん。」とうなっているし悪い夢でも見てい るのかもしれない。 「ファタ、起きて!!」 「う・・・う、もう朝か。」 「なんかすごくうなされていたけど大丈夫?」 「問題ない。時間が惜しい。さあ、カイ森に行くぞ。」 窓を開けて外に出ようとする。様子がおかしい。ファイが焦っているように見 える。 「待ってよ。ファタ、まだ朝ご飯食べてないじゃないか。腹が減っては戦がで きぬだよ。」 「戦いなんて物騒な事しない。何を言っている。」 ファタは不思議そうな顔をしている。 「ものの例えだよ。僕はまだ準備することあるからその間に食べられるよ。」 僕はキャップをかぶり、ポケットがある長袖のポロシャツとジーンズに着替 えた。リュックの中にスマートフォン、グラノーラにペットボトルに入った水 それにナイフを入れる。森の中行くのにこれだけあればなんとかなるだろう。 「ファタ、行くよ。」 「私も今食べ終わったところだ。いつでもいいぞ。」 僕は玄関に行きリュックを背負い外に出る。部屋の中でもスニーカーでいて良 かった。  裏の森に行くのは始めて。針葉樹が多く、なんだか近寄りがたい感じがする。 森の中にもクモの巣が大量に張られている。ところどころカサカサと音を立て て歩いているクモもいて、一層不気味さが際立っている。童話の『ヘンゼルと グレーテル』に出てくる森のような不気味さがある。本当に奥に魔女が住んで いるのではないかと心配になってきた。威勢よく出かけたはいいものの心配に なってきた。前を飛んでいるファタを見ると昨日より顔が険しく見える。しか もクモの巣にぜんぜん引っかかっていない。ファタを見ると僕もしっかりしな ければと思う。僕はファタに遅れを取らないように速度を上げる。ファタが通 りやすように近くにあるクモの巣をナイフで手当たり次第切っていく。僕は切 りながら考える。ファタはなんで昨日ああ言ったのだろうと。 「何。言いたいことがあれば言ったら?」 ファタが僕の心を読んだかのように言う。そう言いながらもファタはスピード を緩めようとしない。こんな時にいや、こんな時だからこそ聞きたいのかもし れない。僕は疑問に思っていた事を聞いてみた。 「ねえ、そうして君たち妖精は僕たち人間が嫌いなの?」 「ええ、今聞きたいのか?」 「うん、今聞きたい。君達の所にいくなら尚更知っておく必要がある。」 「一理ある。私たちは昔人々と『よき隣人』『よき人々』だった。我々は楽器 が得意だからな。誤って国に来た人間達に笛を教えてやったこともある。がい きなり人間達は木を切り、訳がわからない煙がモクモクと立つ巨大な建物を作 り始めた。我々は行き場がなくなり、森の奥に追いやられたのだ。ずっと目の 話だがな。」 「産業革命のことかな。」 「知らないが我々が代々語り継いでいる話らしい。だから我々は人間が嫌いなのだ。」
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