助けよう

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助けよう

そういえば、ファタはどこに行ったんだろう? すっかり忘れていた。 「カイ、カイ、私を助けろ。」 どこからかファタの声がする。 周りを見るとファタはすぐ近くのクモの巣に引っ掛かってた。なんだかとっても既視感。 「私としたことが。」 引っかかった事により冷静になったように見える。昨日と同じように助ける。 本当にデジャブ。 「ファタ、みんなを助けることに専念しよう。」 「そうしよう。」 捕まっている妖精はざっと三十匹といったところかな・・・大変そうだ。案 の定すごく大変だった。なにせ助けようとすると彼らはとても怖がるのだから。 「うわー人間、こちらに来るな。」 捕まっている妖精が叫ぶ。よく見ると金髪青い目をしている男性の妖精だ妖精 というと女性しかいないイメージがあったけど男性もいるんだ。。僕はお構い なしに近づき、糸をナイフで切っていく。羽に付いている糸を丁寧に取る。 「ねえ、ファタ妖精に性別があるの?」 「何を言っている。当たり前ではないか?どうやって子どもをつくればいいと いうのだ?」 「確かに・・・。」話が思ったより生々しい。 「何で助ける?捕まえに来たのではなかったのか。」 助けた妖精が不思議そうに聞く。 「そんなことしないよ。僕はファタと一緒に来たんだ。」 「私が許可したカイはいい奴だ。」 「そうでしたか。失礼いたしました。」 妖精を助け、助けるときに抵抗し力尽きる妖精が多い。僕は要請を助け彼らを 寝床に運ぶ作業を繰り返した。妖精の寝床は鳥の巣みたいな形をしている。 「よし、これで全員だ。」 最後の男性の妖精を寝床で寝かた。 「おかしい。合わない。全員ではない。他の皆はどこに行った?」 ファタが叫ぶ。 「どういうこと?」 「あまり考えたくはないがどこかに連れ去られた可能性がある。」 僕は状況を整理しようと思い、切り株に腰を下ろす。さて、一体どうしたもの か。と考えていたら、急に胸ポケットが何かが動いた。ふと見ると妖精が目を 覚ましている。ああ、そういえば助けるに必死で胸ポケットに妖精を入ってい る事をすっかり忘れていた。 「ああ、気づいたんだね。」 「な・・・なぜ人間がいる!!」 「安心しろ、エマ。この人間はカイと言って私を助けてくれたのだ。」 「そうでしたか。女王様がそうおっしゃるのであれば。」 そう言って僕のポケットから出る。 「カイ、エマだ。私の側近をしている。」 「それどころではありません。陛下が下見に行ったすぐに何者かによって何者 かによって仲間が連れ去られてしまいました。真に申し訳ありません。なんて お詫びをすればよいのか。」 「エマは悪くない。無論カイもだ。」 僕はドキリとした。心が読まれたのかと思った。 「どうせ、昨日、僕が止めていなければ・・・などと考えていたのだろうがそ れは見当違いというものだ。私が国の中で一番飛ぶのが速い。だから私が言っ たのだが、考えが甘かった。私には仲間を助ける義務がある。エマは我々をさ らって行った奴の顔を見たか?」 「はい。人かどうかはわかりませんが、人の形をしていました。髪の毛は長く て女のよう。これは私の推測になりますが、また近いうちに来るつもりで我々 を捕まえていたのではないかと。」 「さすがだな。エマ。さて、カイ。町がクモの巣だらけになっていると言う話 だったが心当たりはないか?」 僕はじいちゃんが言っていたボロボロの空き家を思い出す。
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