実際、行ってみる

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実際、行ってみる

あそこの家はなんだかただならぬ感じがする。 「町の外れにある空き家に今にも壊れそうな空き家があって、誰もいないはず なのに変な気配を感じるんだ。夜中に大量のクモを見たって言う人もいるし。」 「今、大量のクモと言ったか?」 エマが慌てた様子で聞いてきた。 「うん、言った。それに気持ち悪いくらいクモの巣があるし。」 エマは何か考えている様子だ。ブツブツと何かをつぶやいている。 「人間!よく聞きなさい。クモは基本的に単独行動をする。夜中の町に集団で 動くなんておかしい。何者かによって操られている可能性が高い。何者かが町 の空き家をアジトにして雲を操り私たちを捕えようとしている事が考えられ る。カイ、空き家の場所はわかるか?」 「一度見に行ったことあるからわかるよ。」 「わかった。敵は人の可能性があることも考えて私とカイで行こう。」 エマが町に出かける気満々でいると「待って。」と声がかかる。 「私が行く。元はと言えば私が行くと言い出したのが軽率だった。ここは私が 行く。」 「ですが・・・陛下。」 「心配はいらない。カイがいるから大丈夫だ。それよりエマには皆の手当のを 頼みたい。」 「承知いたしました。」 「ここは大丈夫なの?」僕は心配になって聞いた。 「今は曇っているから森が暗い。普段は安全な場所でも危険になる。特に人間 にはな。命知らずのやることだ。」 「行ってくる。」 「行ってきます。」 「いってらっしゃいませ。くれぐれもお気をつけ下さい。」 僕とファタ葉妖精の国を出る。 「どうやって戻るの?」僕は前を飛んでいるファタに聞く。 「人間が国に行くのは確かに至難の業だ。しかし妖精が人間の町や村に行くの はたやすい。行く必要がないから行かないだけだ。もうすぐ着くぞ。」 「ええ!もう着くの!!」 行くのは1 時間弱かかったのにまだ三十分も経っていない。 「言ったではないか妖精が人間の町に行くなど簡単だと。」 森が開ける。そこには僕が滞在している町が広がっている。 「森は味方にもなるし敵にもなる。カイ、例の家はどこだ?案内を頼みたい。」 「ここからすぐだよ。まっすぐ行って突き当たり。」 先に進むにつれ町のあちらこちらに沸くようにクモが出てくる。なんとも言え ない異様な雰囲気があってとてもおどろおどろしい。
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