【完】罪深い僕は青龍様に罰されたい

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 スマートフォンで調べると上野はここから山手線で一本でいけることがわかった。早速電車に乗り上野へ向かう。 上野は新宿とは違う意味で活気のある街だ。僕の乏しい東京の知識によると、確かこの辺りは下町と言われていたはずだ。またしてもなけなしの霊感を動員して街をうろつくと、急に女性の悲鳴が聞こえた。  何が起こったのかと考えるより先に体が動き、その声がした路地裏まで走って向かう。そこではまさに白いバンに女性が連れ込まれている状況が繰り広げられていた。僕の他に人気はない。 「たす、け――」 「おい、行くぞ」  白昼堂々の犯行、これって例のニュースの――  そう思った瞬間そのバンに向かって走り出したが、犯行グループは一足早く女性をバンにのせ、連れ去っていった。少しの間バンを追いかけたが、途中で見失ってしまう。息を切らしていると人気が戻ってきた。どうもおかしい。僕が駆けつけてきた瞬間は人気がなかったので元々人通りの少ない道だと思っていたが、バンが走り去った後、急激に人の気配が増え、車も走り出した。ここはどう考えても普段から人通りがある道だ。
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