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僕が東京に来てから三ヶ月が過ぎ、五月になった。その間、ずっと焦燥感に駆られている。僕が東京に出てきたのは東京に存在するという四神、青龍、白虎、朱雀、玄武にあることをお願いしに来たからだ。しかし彼らにたどり着くのは容易ではなく、彼らを探すためには東京で生活しなければならない。そのためには働かなくてはならなかった。東京は家賃も物価も僕の育った村とは桁違いで、最終学歴が高校、しかも家業を継ぐ予定だったので就職活動をしていなかった僕はコンビニのバイトくらいしか選択肢がなかった。
東京。東北の田舎の村で育った僕からすると、ビルの数や人の多さに圧倒されてしまう。最初に東京駅に降り立った時は何かの祭でもあるのかと思ったほどだ。育った村に比べて空気は澱んでいるが、それを押し返すように人々が蠢いている。
どっとお客さんが来た後、しばらくは少なくなる。波のようなものがあるようだ。これから深夜帯にかけてビジネス街にあるこのコンビニには殆ど人が来なくなる。特に零時を過ぎ、終電のなくなった時間になるとお客さんはビルの警備員が主になり、朝まで無為な時間が続くこともしばしばだ。
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