【完】罪深い僕は青龍様に罰されたい

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「いえいえ、こ、こちらこそいきなりすみません……」  お互いに謝罪し沈黙してしまう。僕が店を辞そうかなと思った時、蚕は「それにですね……」と続けた。 「東京はもう四神相応の地ではないのです。四神は……青龍様と玄武様がお争いになられて……玄武様は封印されてしまったのです。  正確に申し上げますと、ご存知の通り玄武様は亀神様と蛇神様からなられる神様ですが、その亀神様が封印され、玄武様がお治めになっていたところは玄武様の片割れの蛇神様がお治めになっております。人間様には関係のないこととは思いますが……」 「……!」  まさか古来より絶対的存在である四神の中でそんなことが起こっていたとは知らなかった。僕がお願いしようと思っていることは四神が揃っていた方がベターだと思っていたのだが……これは予想外だ。  そもそも古来より存在する四神の間に争いが起こったことなど聞いたことない。前代未聞の出来事である。 「それはいつ頃のお話でしょうか?」 「はて……もう数十年前になりますでしょうかねえ」  この数十年の間、東京は四神相応の地でなかったことになる。
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