【完】罪深い僕は青龍様に罰されたい

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「しかし人間様には関係のないことと存じます……その間も人間様は問題なく生活しておられるようですし。我々妖の者には多少影響もありましたが、先ほども話しましたように一介の糸屋にはあまり関係のない話でございます……」 「わかりました。それでは四神様にお会いするような方に心当たりはありますでしょうか?」 「一介の糸屋にはそのような方に心当たりはございません。しかし……上野の方へ行きましたらそのような方にお会いできるかもしれません」 「上野、ですか」  東京の地理に疎い僕には位置関係がよくわからないが、とりあえずスマートフォンで行き方を調べて行ってみよう。 「ありがとうございます……それと、あの、糸なんですけれど。左側の上から三段目にある群青の色の糸をください。色々教えていただいたので」  深い青の糸ならボタン付けとかに使えるだろうが、売られている単位はものすごい量の糸で織ればストールくらいになりそうだ。しかし流石にここまで情報を聞いておいて手ぶらでは帰れない。 「お気遣いいただきありがとうございます」  ……その群青の糸は結構な値段がした。痛い出費だが仕方ない、情報料だ。
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