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ごめんなさい。僕は弱いです。
ごめんなさい。僕は皆を生贄にしました。
ごめんなさい。僕は皆を殺しました。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
「いらっしゃいませー」
やる気のない掛け声で客を迎えると僕は商品の陳列作業に戻った。ここはとあるコンビニチェーンの東京・新宿にある店舗。客足は途絶えず、午後十時を回った今でも仕事帰りのサラリーマンが次々と店にやってくる。しかし最近の例の事件のせいで若者、特に女性は殆ど来ないようだ。
「相馬、レジ入って」
「あっ、すみませんすぐ行きます」
商品陳列を一旦中断し、僕はレジに立った。
僕は相馬 觀月。今年で十九歳になる。僕の育った東北の小さい村では、皆苗字が同じだったから下の名前で呼ばれることが多かったけれど、このコンビニでは僕以外に相馬という苗字の人はいないから、苗字で呼ばれている。
「こちら温めますか?」
「ありがとうございました〜」
脳内を無にして機械のようにレジ打ち作業をする。数人のお客さんのお会計をして、また商品の陳列作業に戻る。
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