SS③ 呪いのカーブミラー

1/1
前へ
/34ページ
次へ

SS③ 呪いのカーブミラー

「ここの道、呪いのカーブミラーがあるんだよ」  Bさんが路上教習を受けていたとき、助手席に座った担当教官が、突然そんなことを言い出した。  呪いって、とBさんは思わず笑ってしまった。小学校の七不思議ばりにド直球なネーミングだ。担当教官は気さくで陽気な良い人なのだが、ときどきこんな風に、教習とは全く関係ない四方山話を振ってくるのが玉に瑕だった。 「なんすか、幽霊でも映るんですか?」  Bさんは適当に返事をしながら、ブレーキを踏んで減速した。この先はつづら折りの細い道が続く。  十分にスピードを落とし、カーブミラーに対向車が映らないことを確認してハンドルを回した。 「逆だよ。映らないの」  対向車線ギリギリを、トラックがすり抜けていった。 ──『呪いのカーブミラー』了──
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加