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雑多にわたるそれらを、普段の業務の合間を縫ってこなす要領は、ここ最近ついてきたところだ。
(まあそれでも、教員ほどではないんだろうけど)
最近の教員には、本当に頭がさがる。とくに中学生の教師なんて、部活顧問や受験相談など、残業続きだ。
加えて思春期真っ盛りの子どもたち相手というのは、専門の私でも大変だと思えるのだから。
(あの人も忙しそうだったな。……それなのに、よく二股なんてできたこと)
また、いやなことを思い出してしまった。眉間に一気にしわが寄る。
むりやり考えに蓋をして仕事に一区切りつけると、事務机から顔をあげた。
保健室には今はもう、誰もいない。
気分転換に窓の外を見れば、グラウンドには部活動に励んでいる生徒たちが散らばっていた。
みな、青春の汗といえる雫をまき散らし、しゃにむに走っている。
すると、その中からサッカー部の子が一人、教師に付き添われてこちらへ向かってきていることに気がついた。
鼻をタオルで抑えているので、どうやら鼻血のようだとピンときた。
(付き添っているのは、坂本先生か)
サッカー部の顧問である坂本先生は、まだ若い体育教師だ。
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