ワンス・モア

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 放課後、そんな風に考えながら廊下を歩いていたせいだろうか。  廊下の先に、一人歩く戸田さんの後ろ姿を見つけることができた。 「戸田さん」  思わず声をかける。  振り返った彼女は、すぐに人懐っこい笑みを浮かべてくれた。 「篠田先生、すごい量ですね」  以前のことはまったく気にしていないようで、彼女はわたしの持つ大量のプリントを見て笑った。 「今度、全校生徒に配るやつなの。熱中症対策のお知らせ。今からクラスごとに仕分けなくちゃいけなくて」 「あ、なら手伝いましょうか」 「え、時間は大丈夫?」 「はい。今日は部活が休みなんです」 「そう、助かる。ありがとう」  今までも保健委員にこういったお手伝いを頼んだことはあったので、彼女の申し出には素直にうなずくことにした。と同時に、あることが頭をかすめたけれど、顔に出さないようにする。
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