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保健室に着くと、中央にある大きなテーブルに大量のプリントを置いた。戸田さんも同じように半分持ってくれたプリントを並べる。
「この表どおりに分ければいいんですね」
「そう。お願いね」
戸田さんはベッドを背後に椅子に座ると、プリントに手をつけ始めた。
正直、手伝ってもらうほどの作業量でもなかった。けれどわたしには、彼女をこの保健室に誘うきっかけが欲しかったのだ。それについてどう切り出せばいいのか悩んでいる間に、戸田さんがちらちらとこちらを窺い見ていることに気がついた。
「戸田さん、どうかしたの?」
「……あ、あの」
資料分けに関する質問だろうかと思ったが、彼女はとんでもないことを聞いてきた。
「先生、この間……中嶋くんが告白されたって、言ってましたよね?」
「え? ええ……」
まさかその話題を振られるとは思わず、目をしばたたかせる。
「その、どうだったんですか?」
「どうって?」
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