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「告白……オッケーとか、してたんですか?」
顔を赤くしながら聞いてくる戸田さん。少し声が大きくないかしら、と気にするわたしのことよりも、彼女の頭の中は中嶋くんに関することでいっぱいになっているようだった。
とりあえず今は、彼女が落ちつけるように答えるしかない。
「そこまでは、わたしもよくわからなかったわ。通りすがりに見えただけで」
「……そ、そうですか」
本当は結末も知っていたし、それどころか「あなたたちは両想いなのよ」と言いたいところだったが、ぐっと我慢をした。戸田さんはうつむいてしまう。
けれど、戸田さんはそれだけでは落ちつかなかったようで、視線を落としたまま、ぽつりとつぶやいた。
「……わたしも、好きなんです」
不意打ちの小さな告白に、わたしは息を飲んだ。
戸田さんは溢れ出してしまった気持ちを止められないかのように、顔を上げると一気に話してしまう。
「先生も気づいたと思うけど、わたし、彼が好きなんです。だから、先生から聞いた告白のことも気になって」
「え、戸田さん、まっ……」
わたしが慌ててしまっても、必死な彼女はそれに気づかない。
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