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『水とは地球をめぐる血液なのだ』とダ・ヴィンチが言うならば、まさに血こそがそのまま生きるエネルギーになって、俺の中をめぐっている。
俺にとってこの世界を生きることは、命に満ちてゆくことと一緒だ。どうして彼には分からないんだろう。俺と彼はまるで立ち位置が違うみたいだ。求めるものも、見ているものも、世界の捉え方も。
それでも俺たち二人が出会ったのは、何か意味があるんだ。
雨の日にここで再会したのも、こうやって言い合いになってしまうのも、どこか見えないもので繋がっているからなんだ。
後でどうなってでも、言わなきゃいけない言葉があった。
「地獄に堕ちたいだって? そんなことのために、マッテオ司祭があなたを助けたと思ってるのかよ! 違うだろ! あなたは本心を隠してる。そんなことで誰のことも信じられるもんか!」
叫ぶように言いながらなぜか泣きそうになった。目尻に涙が浮かぶ。俺は悪態をついて、手の甲で自分の涙をぬぐった。
俺は通路を青年の方に向かって歩いていった。
「そんなのは駄目なんだよ、ジュリアーノ! そんな風じゃ誰も愛せないし、幸せになれないって、誰もあなたに教えなかったのか?!」
怒りすぎて涙目のまま彼から視線をそらさなかった。
俺の強い反抗は予想外だったのか、ジュリアーノは驚いたように息を飲んで黙ってしまった。何かの聖句を小さくつぶやいたようだが、何を言ったのかは分からなかった。
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