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俺が混乱しているうちに、彼は俺の両手を掴むと、瞳を閉じて俺の手の甲に口づけをした。
「私の命と魂にかけて」
言いながら石の床にひざまずいて、金髪の頭をうつむかせて頭を垂れる。俺の手は握ったままだ。
「あなたに永久の愛を誓います」
ジュリアーノは小声だがはっきりと告げた。
まるで騎士のようにピッタリ決まったその姿は、ルネサンスの有名画家の絵画のようだ。だがここは現代イタリアだ。だのに目の前の青年はどこまでも真剣だ。
こいつ……ツンツンしているときは取りつくしまもないのに、デレになると歯止めがきかないのかなぁ……。走り出すと一直線なんだなあ……。
俺はようやく教会に入る前に察知していた、直感的な危険信号の意味を理解した。危険なのは教会ではなくこの青年だった。うう、気がつくのが遅いよ、自分の馬鹿!
ジュリアーノは頭のネジがぶっとんでる。イカれてるんじゃなくて最初から変だ。誰か助けてくれ! こいつの言動を解説してくれ!
跪いていた青年は顔を上げると、俺の手を握ったまま、気が済んだようにすっきりした顔で微笑んできた。白い花がほころぶような笑みだ。
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