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俺は息を継ぎ、信者席に座ったままぼうぜんとしていた。さっきの情熱的な口づけが忘れられなくて頭の中はくらくらしているし、心臓は高鳴りっぱなしだ。まだ顔も赤いだろう。
ふらつきながら背もたれに手をかけ、足に力を入れて席から立ち上がった。もうここに居たくない。早く家に帰ろう! そうしよう!
「もう、ジュリアーノは強引すぎる!」
今さら文句を言ったが、もう遅いことは自分でも分かる。
「誓いの儀式と口づけだって? 俺はまだ何も誓ってない。こんなの無効だから!」
顔が赤くなったまま怒ってみたけど、効果はないみたいだ。
ジュリアーノは少し離れた場所で、顎に手を当てて面白そうに俺を見ている。
「私が勝手に行ったことです。あなたが誓うまで待ちますよ。何年でも何十年でも」
俺はそれを聞いてヤツの執念深さに震え上がった。な、何十年!? それだけでも俺には実感が持てない、気が遠くなるような年月だ。
表面だけ見れば大天使のように微笑んでいるジュリアーノから距離を取り、俺は彼を無視して正面扉に向かって通路を歩き始めた。
緑のリュックをしっかり背負い直して、足早に通路を抜ける。遠ざかってからジュリアーノに振り返って言った。
「あなたは一回病院に行った方がいい。脳を診てもらおう。治らないかもしれないけど。変態につける薬があるかどうか俺は知らないからさ」
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