出会い

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この世界から争いがなくなったことはない。約1000年前には魔族と人間が200年にも及ぶ大抗争をし、勇者によって魔王が討伐された後は、現在に至るまで領土を求めて国の間での戦争が絶えない。 そんな世界で求められることと言えば? 武力・知力・技術力・人脈…などなど。 まぁ沢山ある。 そんな世界だからこそらそれを養成する機関が重要視される。 その機関が俺がこれから行こうとしている学校である。 周囲にはちらほら俺と同じ服を着る人がいる。うん、道は間違えてなさそうだ。 そしてそのまま数分歩くと、目の前には巨大な門が広がっていた。 国立シャルレーナ勇士養成兼研究機関。 通称シャルレーナ学園。 国から認められた300人しか入学を許されず、さらにその中から選ばれた数人だけが卒業できる、『卒業する=超エリート』な学校である。 4年制であり、学年が上がるごとに人はどんどん少なくなる。学校側が辞めさせるわけじゃない。それほど、辛いらしい。 よって全学年人口は約500人。 誰もが入りたいと思う学校が故に、理想と現実のギャップにやられてしまう人が多いのだろう。 だが、まぁ。 俺も今日からエリートの1人なのだ! まずはそのことを噛み締めて入学できたことを改めて喜び、第一歩を… 「ういーす!!!!」 踏もうとする前に背中を叩かれ胸が先についてしまった。 「誰だ!!!!」 不届き者に若干怒りを感じ、振り向くと… なんか爽やか系イケメンがいた。 全く見たことのない、イケメンが。 しばらく睨みつけていると、彼は気が付いたように口を開いた。 「おお!悪い!人違いだった!!!まぁなんだ。袖すりあうも多生の縁っていうだろ?仲良くしようぜ」 距離の詰め方がおかしすぎやしないか? 俺は少し苦手なタイプやも知れぬ。 「…や、大丈夫。こちらこそ叫んで悪かったな」 一応謝っておく。 「いやいやー。急に背中叩かれたら誰だって警戒するっしょ!俺はケイネ=ラミー。お前は?」 「ヴァルハラージ=ソレイム。ヴァージって呼ばれ慣れてるから、そっちで呼んでくれると助かる」 「ほう。珍しい名前だな。じゃあ俺はケイで頼む。よろしくな。ヴァージ」 「おう。よろしくな。ケイ」 「30分後に入学式で、その後寮案内っしょ?寮楽しみだわー!!!」 例の勘違い時間から20分。 なんかすっかり仲良くなっていた。 「ヴァージは初めての寮生活だもんな。1人で起きられるか?1人で着替えられるか?添い寝してやろうか?」 ニヤニヤと悪ガキのような顔で見てくるイケメン。まったく。 イケメンじゃなかったらぶん殴ってたぞ。 「いてっ」 まぁ殴ったんですけど。 その直後に、ポーンポーンポーンと言う大きな音が学校中に響き渡った。 『入学式準備の為、新入生はホールへ集まってください。尚、席は早く来た人から順に、詰めて座ってください』 「伝令用魔術か…。流石学校。こんな高等テクニックが日常的に使われているとは…」 放送に使われた技術についてうんうん言っていると 「何言ってるかわかんないけど、感嘆してる場合か。急ぐぞ。席は早い者勝ちだとさ。前の方に座るしかねぇ」 この野郎。人の#魔術解析__たのしみ__#奪いやがって。てか 「は?前だったら寝てるのバレるだろーが。後ろが一番だ」 「…お前なぁ」 「村内会には月一で参加してたからな。こういうのをサボるのは得意だ」 ちょっとキメ顔してみたり。 「まったく。こーゆーのは前の方に座った方が教授の声が聴きやすいだろ。教授の話は後々役に立つ。初等学校でもそうだったし。ほら、つべこべ言わず行くぞ」 「真面目だなー。てかお前学校行ったことあんの?」 「ん?ああ」 庶民は基本的に16歳から学校に通う。 最も、小さい時から学校に行くことはできるが学費は一年で平均年収の2倍という超リッチしか入れないようなものになっている。 まぁ、超ベテランがじっくり教えてるからそのくらいになるらしいが。 さらに魔術の使い方は千差万別であり、 それを纏めて抑えることなど不可能に近い。 それまでは親だったり家庭教師だったりに 教えてもらい、ある程度自身の魔術を理解した後、学校に通って大人数で教えを請う。 庶民の子はそうやって生きていくのが基本だ。 つまり、ケイはかなりの金持ちってこと。 「そんなことより!取り敢えず早く行くぞ!」 なんか流された感が凄い。 そんなこんなで、俺は腕を引っ張られながらホールへと連れて行かれた。
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