ファイア・ラムール教団の秘典

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ファイア・ラムール教団の秘典

 最高伝道師、アイリス・カノン著書   タイトル 愛と炎より抜粋  ※秘典につき教祖以外閲覧禁止  3章より  ラブリードラゴン、愛の蓄積と排出。    人間のとは刹那的、突発的に湧き上がる炎のようなものである。  が含まれる、あまたの物語に魔力を適量付加すると、球状の発光エネルギー体、ラブマギラーを生成する事ができる。このラブマギラーをラブリードラゴンにエサとして与えると胃に蓄積され、集合体となり胃石として体外に排出される。その胃石の事を愛炎の塊(あいえんのかたまり)と私は命名しており、この愛炎の塊を人間が食する事で火属性魔法のステータスを上げると共に2段階の上がり幅を無視した限界値突破効果が得られる。    ラブマギラーとして生成できる、物語に含まれる愛の性質は4種目有り、ファイア・ラムール教団が定める4大真理に即した愛のみである。ラブマギラーの生成量に関しては1種目より順に4種目の方がエネルギー量が多く、ラブリードラゴンの胃への蓄積速度も上がる。 1種目、善良なる愛、純真で清潔で清らかな愛、慈愛。 2種目、不朽の愛、枯れない愛、永遠の愛、無限の愛 3種目、別れの愛、フラれ愛、見守り愛。 4種目、悪意のある愛、嫉妬愛、逆恨み愛、憎しみ愛、殺意愛、復讐愛。    最高伝道師、アイリス・カノンの実話より  わたくし、アイリス・カノン自らの体験談を皆に知らしめる事が一番理解されやすいと思いここに記する。真実を伝える事はとても気恥ずかしが、それをは仕方ない事なのだと思っている。  13歳の時点で私の火属性魔法ステータスはGであり奴隷階級であった。そんな私の元に光体が降臨し道を示された。その概要は最弱の奴隷階級やステータスの低い市民がかかえる悩み、火属性魔法弱者問題の為にラブリードラゴンを得て火属性魔法ステータスを上げることができるアイテムを作成し救済せよ、と言う内容であった。  私は光体の教えの通り、まずはラブリードラゴンを探しに生息地に向かった。その地はプラナリア湿地帯の北側にあるアガペー山の麓で、そこでラブリードラゴンが群生しているのを発見できた。私はその地で人語が話せるラブリードラゴンの長、エロエースに謁見した。その場で私はエロエースに頼み込み、ラブリードラゴンの卵1個を譲り受ける事に成功した。この卵を譲り受けるにあたっては当然の事だが無条件ではなく、大量の貢物を差し出すこととなった。奴隷階級であった私が大量の貢物を入手可能にした手口に関しては別章に記す事とする。  王都グロリオーサに戻った私は無事ラブリードラゴンの孵化に成功し子供を手に入れることに成功した。ラブリードラゴンは生まれた時点で最初に見た者を親と認識するのでこの点は注意が必要だ。  神殿でグローアップドラゴンの糞尿係をしていた私はこっそりミルクを頂戴して2時間おきにラブリードラゴン与えてみた。すると10日でかなりの成長を遂げる事に成功した。  降臨した光体の説明では、ラブリードラゴンにラブマギナーを与えると胃で蓄積し胃石を排出するとの事だったので実験を繰り返し行った。このラブマギナーは愛の物語を語りながら魔力を適量付加することで生成できるのだが、どうやら私は光体の力で多くの魔力と語り部スキルを得ていたようで容易にラブマギナーを生成する事に成功した。愛の物語に関しては王国内から集めた恋愛話しをまとめたファイア・ラムール教の愛の聖典、ラブスクリプチャー見て、ラブリードラゴンに読み聞かせた。ラブスクリプチャーは一般公開されているので入手に関しては難しくないのだが、高額の為この時点で私の持ち金はほぼ無くなってしまった。  実験を幾度となく進めた結果分かったことがある。それはラブマギナーの生成時のエネルギー量は恋愛話しの内容によって大きく左右されると言う事だ。このことに関してはファイア・ラムール教の定める4大真理に即した愛であれば生成は可能で1種目より4種目の方がエネルギー量が多い結果となった。  又、ラブマギナーがラブリードラゴンの胃に蓄積されると目の色が変わり、最初は薄青だった眼球が深紅の赤色に変わって、ほどなくして胃石が排泄された。排出された胃石を1つ食してみたところ私の火属性魔法ステータスがGからG+に上がる事が確認できた。その後食し続けSSSまで上がる事が確認できた。それ以上は測定器が対応しておらず、測定不能で確認はできていない。なので最終的にどこまで上がったのかは不明である。  光体が私に念を押して語ったことが1つある。それは私以外の奴隷や平民を貴族に上げる事はしてはならないとの事であった。なので奴隷と平民の火属性魔法ステータスの上昇値はA+までと定めた。この事に関しては私も同意である。S以上の貴族が増えると王都内で人的混乱が生じる可能性があるので悪戯(いたずら)に火属性魔法ステータスを上げる事はやってはならないと思う。奴隷と市民に至っては弱者を優先しA+に近い市民ほど高額のお布施を要求することにした。当然弱者に近いほどお布施も安い金額とした。  S以上の貴族に関しては頼まれても火属性魔法ステータスを上げる事はしてはならないと定めた。権力者は常に上を目指すだろうからそれを阻止する為である。  余談ではあるが、ラブリードラゴンの好物に関しての話を記する。ラブリードラゴンは基本雑食であるが、一番の好物はフェリアの実である。この実が取れる樹木はプラナリア湿地帯全域に分布していて、一番の群生地はプラナリア湿地帯北東にあるベジャイナ湖周辺である。ベジャイナ湖周辺には毒を吐くドラゴンが多く生息しているのでラブリードラゴンは近寄る事ができないでいる。私が何を言いたいのか頭の回転が速い読み手なら分かると思うが念のために別章に記する。  ラブリードラゴンの胃石の食し方  胃石はムラサキ大王インコの卵と同じくらいの大きさで、丸く外皮は半透明な薄皮で覆われている。その薄皮は柔らかいが壊れにくい性質でスナフ鉱石で作ったナイフのみで切れる。胃石を切るとねっとりした赤色の愛エキスが溢れ出す。この愛エキスは少しでも皿にこぼれるともったいないので口の中に丸ごと入れその状態のままナイフで切れ目を入れて内包物である愛エキスを摂取するのが妥当である。この愛エキスの味はキュラキュラの実から作ったキュラリー酒の味に似ており大変美味である。因みに殻である薄皮は、食べない方が無難である。  排泄物の問題点  この胃石を食すには問題が一つだけあるのだがそれを説明すると少し気分が悪くなるので食事中の方は読まれない方が無難である。  胃石はラブリードラゴンの排泄物と共に出てくる。なので特に便秘気味のラブリードラゴンの物であるならば匂いが移ってしまってとても香ばしい臭いがし、そのままでは食する事は不可能で有る。この場合解決策として3日間清らかな流水にさらし臭い抜きをする事を推奨する。因みに便秘の状態の確認はラブリードラゴンの眼の色が赤に変わった後100分を超えても排泄されない場合は確実に便秘である。その場合は隔離して排泄させなければならない。もし街中で隔離もせず便秘状態から排泄が行われると人的被害は甚大である。スムーズに排泄される場合は便自体が無臭なので胃石も無臭である。 以上  
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