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『巣立ちビナの親鳥は、近くにいて見守っています。巣に戻すことが出来れば巣に、出来なければ、ちかくの茂みに隠して様子を見ましょう』
日本野鳥の会、その他諸々野鳥を保護しちゃあかんよ、という喚起HPによくある文言が頭のなかをぐるぐるめぐる。
とはいうものの、巣は屋根の上に鎮座する。この間ローンの支払いを終えたばかりのソーラーパネルの奥深く。人の手で戻せる場所にはない。
そして、庭の草むらは、お隣さんと斜向かいさんが飼う猫様のパトロール巡回路でもあったりする。
ベランダに放置―――が、あかんのは、一昨年すでに経験済みだ。
どうやら、ちゃんと巣立ったというよりも、ちょい跳ね、が出来るようになった途端に落ちた、と見えて、跳ねる気配も羽ばたく気配も全くない。
今日は金曜。私はこの後仕事がある。
医者に連れてく時間はない。どこか隠せる場所……を探す間もない。
そして、世間はコロナで自粛。
休校中の息子は家にずっといる―――。
「……あかんと分かっているけれど、私の心のメンテナンスだ。息子よ、こいつは一旦、保護しよう」
「……おかん、それ、大丈夫か?」
捕まるんじゃないか、もしくは罰金?
そんな不安げな顔をしている息子。だがしかし、一日一旦保護するだけで罪になるのか。
国土は狭いが、日本は、そんなに狭量な国でもないだろう―――。
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