イソヒヨドリが落ちてきた日

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 長く保護するつもりもない。親鳥も様子を見ているようだ。だとしたら、どうにかして親の元に帰してやりたい。  最長一週間で、親元に帰す予定で始まった保護生活。缶詰になったミルワームも、ミルワームも安くはない。 注2)=ばっちり生きてます……。  ソーラーパネルのローン支払いは昨年終わりを告げたと言えど、まだ住宅ローンを抱えた安月給。口とおしりのついた生物を育てる余裕は、息子以外にないのが実情。    家族を巻き込み、あれやこれやと、試行錯誤し、猫からもカラスからも隠れられる巣のようなものを作ってみたり、窓から出入りできるようにできないだろうかと棚を制作してみたり。  親鳥も、やっぱり気にしているようで、家の中から聞こえるさえずりに、耳を傾け、家の周りを飛んでいる。  早く親元に帰してやらねば、と気持は焦る一方だった。  しかし、ヒヨ子、と名付けたイソヒヨドリはしれっとした顔をして、お腹がすくと鳴き叫んでミルワームをねだり、いつの間にか飛べない羽をバタバタさせて、跳ねまわるようになっていた。  親鳥の姿が見えて、すわ、今か。と外に出しても戻ってくるわ、きょろりとした目でこちらを見つめて、澄ました顔で人間観察してくるわ。  『人懐こい』と言われるように、イソヒヨドリは人間をあまり怖がらない。くちばしに見立てた割り箸で何の苦労もなく食べる食べる、食べまくる。  いつからか、親もそれでいいと思ったらしく、エサはその人間に貰いなさい、と言わんばかりの態度で家の中を覗くだけになってしまった。  
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