ヴィラン

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 その日から、男は水曜だけではなく、他の曜日も別荘に来るようになった。  時には体が回復しきっていない状態で、再び男の相手をしないといけない夜もあった。行為が終わった後、俺はいつもベッドで吐いた。男はそんな俺を嫌がるどころか、さらに興奮し、より激しく俺を犯すようになった。  どれだけ後ろを使わされても、そこで感じることのない俺の前に、男は別の若い男を連れてきた。  まだ大人になりきらない俺と違って、その若い男は服の上からでもわかるほどに筋肉が発達していて、胸板が分厚く、まさに大人の男といった体格をしていた。よく陽に灼けた肌に短髪の黒髪。あっさりとした顔立ちだが目元は凛々しく、どこかの特殊部隊にでも所属していそうな風格だった。 「リキ。いつもみたいに、こいつも頼む」  リキと呼ばれた若い男はうなずいて、俺の目の前で服を脱ぎ始める。思った通りの、ガタイのいい体。リキが俺をベッドに組み敷くと、俺はパニックになった。 「誰だよこいつ!なんだよこれ。はなせ!」  リキは、憐れんだように俺を見つめ、諦めろと静かに言った。 「安心しい。次に私に抱かれる時、お前はもっと気持ちがよくなれるはずだから」  男が出て行った後で、リキは俺に耳打ちをした。 「お前が後ろでイけるようにしてくれってさ」  ゾッとした。全身が(あわ)立つ。 「嫌に決まってんだろ!どけよ」 「ムリだ。俺もあいつには逆らえない。それにお前が逃げたら、あいつはお前の弟にも同じ目にあわせるって言ってたぞ」  怒りと悔しさで泣く俺を、リキは優しく抱きしめてくれた。 「・・・こういうことになるのは、俺で何人目?」 「知らない方がいい」  同情したようにリキは言う。受け入れるしかないと分かっていても、なかなか覚悟は決まらない。 「あまり考えるな。大丈夫だから」 「・・・目、つむってていいか」 「いいよ」  ぎゅっと閉じた(まぶた)の上に、柔らかなキスが落とされる。厚く張りのある唇。いつもと違う感触に、俺は少しだけ安心した。  顔の表面を優しくつまむように、キスは続く。一方的ではない愛撫に、心が徐々にほぐされていった。あたりに漂うなまめかしい、けれどどこか心地よい香り。  かすかに目を開くと、リキが小瓶をかたむけ、手のひらにとろりとした液体を垂らしていた。 「香油だよ」  体温で温められた香油は強く匂い立つ。リキは濡れた手を俺の太ももに差し込み、そっと肌の上をすべらせた。感じるか感じないかのわずかな刺激に、背筋がぞくりと(しび)れる。下腹部が熱くなり、ぬるぬるとした手のひらが、少し硬くなったそこを撫でるように包み込む。  思わず吐息が()れた。  頭がクラクラするような香りに包まれ、いつの間にか腰がもどかしく揺れる。気づくと、俺の下半身は完全に勃ちあがっていた。恥ずかしくなったが、リキがいっそう甘い声できれいだよというものだから、俺はもう恥を感じる余裕もなくなっていた。  やがて、リキが香油をさらに手に取り、俺の尻へと手を伸ばす。指先がなめらかに輪郭(りんかく)をなぞり、吸い込まれるように割れ目へと差し込まれる。  俺はリキの背中にしがみつき、覚悟を決めた。  指が入り口をゆっくりと刺激したかと思うと、つぷ、と中に差し込まれ、徐々に内側を広げながら侵入してきた。  
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