ヴィラン

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「ぁ・・・あっ」  今までに出したことのないような甘い声。瞬間、顔が熱くなり、リキにしがみついて必死に声を殺す。  男とは全然違う指づかい。内側を(まさぐ)る太い指は、くちゅくちゅと音を響かせながら奥へと飲み込まれていく。自分の内側が、リキの指に吸い付いているのが分かった。力の抜き方がわからない。  リキは、俺の前をしごきながら指を動かした。大きな手が竿を包み、裏筋を指でぐりぐりと(こす)りながら快楽の底へと追い詰めていく。リキの背中に爪をたて、俺は必死に声をおさえた。  けれど、ふとしたはずみで吐息が漏れ、恥ずかしさでさらに熱が溜まっていく。  内側の硬い部分に指先が触れると、俺の吐息は(あえ)ぎに変わった。リキは執拗(しつよう)にその部分を太い指で(こす)り、俺はもう甘くなるばかりの声を我慢できなくなっていた。 「んっ・・・や、ぁあ、っは、あ」  リキが俺の口をふさぐ。ひたすら()れる嬌声(きょうせい)は、リキの口内へと吸い込まれて消える。ポロポロと涙をこぼし、もうやめてと懇願(こんがん)する俺を、リキは優しく責め続けた。  ぐずぐずに溶かされ、入り口が無防備に開ききる。リキが指を広げながら具合を確かめると、俺の足を持ち上げ、自身のそれをあてがった。  快感を与えられすぎて、体はぐったりと疲れきっていた。それでも前は(たかぶ)ったままで、たまりにたまった欲はいつ吐き出されてもおかしくなかった。  リキのそれは太く長く、同性としてうらやましいくらいだった。けれど今は、それがこれから自分を犯すのだと知っているから、やめてくれと泣き叫びたい気持ちだった。 「ぁあっ・・・!ま、って」  リキは腰を沈め、体重を乗せて俺の内側にそれを押し込んでくる。これまでにないほど内側が広がり、全体が(こす)られ、リキのを締め付ける。ヒクヒクと震え、異物を(くわ)えるように。  リキが俺の足をさらに持ち上げ、まるででんぐり返しをするように体を丸めさせると、上から体重をかけて何度も俺の奥を突いてきた。入ってきてはいけないところまで侵されている感覚だった。  リキの汗が上から降ってくる。俺は目をつむった。腰が持ち上げられ、深く繋がったまま、中をねじるように異物が動く。俺は悲鳴を上げる間もなく射精した。  突かれるたびに、揺れる先端から白濁が吹き出し、俺の腹や顔を汚していく。こんなに何度も射精したのははじめてだった。  やがて俺が出し切ったとわかると、リキは俺の中で果てた。射精する直前、リキのそれはさらに大きく(ふく)らんで、奥へと飛ばすように勢いよく発射させた。  互いの体液がどろどろに溶け合う。リキは俺を見下ろし、呼吸を整えると、そのまま俺を優しく抱きしめた。俺も自然と手を回し、ふたりは固く抱き合う。 「ごめんな」  リキの切なそうな声。他にも何か言っていた気がするが、俺は覚えていない。そのまま気絶するように眠った。
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