始まりの物語

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僕は15歳になった。 毎日剣の稽古をして、冒険者が施設にやってきたら教えてもらっていた。 実は魔法も少しつかえるようになった。 水を出したり、 火をつけたり、 風を起こしたり、 光をともしたり、 強い魔力もあるみたいだけど、今のところは魔物退治に使えるほどの威力はない。 ただ、飲み水に困らなくて、火もすぐにつけれるから、狩りさえできれば食べるものに困らない。 僕は16歳の誕生日を迎えたら、施設を出ていく。 施設の出身者は、王都や町で何かしらの職に就くことができる。 勿論、最低賃金での雇用にはなるけど、実績を積んでいけば、出世もできる。 普通は皆、どこかに就職をする。 僕は冒険者になると決めていた。 最低限の魔物には難なく勝つことができるはずだ。 冒険者になるためには冒険者ギルドに行く必要がある。 この町には冒険者ギルドはない。 僕は王都に行って、冒険者になるつもりだ。 王都まではこの町から2日かかるらしい。 今まで施設に来た冒険者に地図を見せてもらった。 書き写してもいいといってくれた冒険者もいて、僕は少ない小遣いで買った紙とペンで地図を書き写した。 王都までの道のりで魔物に出くわすかもしれないから、王都までの道によく出現する魔物について冒険者の話を元に自分で対策をたてた。 何度も冒険者と手合わせしてもらい、自分が魔物に勝てるかどうか見てもらった。 施設の職員はそんな僕を見て、鼻で笑う。 冒険者が手を抜いているから互角に戦えるんだ そもそもランクの低い冒険者が僕に剣を教えてるから、僕の剣の腕じゃ冒険者になる前に死んでしまう 今まで実践なんてしたことないから冒険者として稼いで生活なんてできない そんな事を剣の練習をしている時や魔法の練習をしている時に言ってくる。 僕はそんな言葉を聞いても諦めない。 僕は僕の心にあいてしまった穴に本来あったもの埋めるのだ。 そこに埋めるべきものは失った7歳までの記憶。 僕はその記憶を探しに行く。
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